発達資産という考え方

あなたが子どもに与えているものは?

 

わたしたちが子どもに与えられるものには、愛や教育、モノ…など、たくさんあります。「子どもの成長を促すための発達資産」は、貯金のようなものです。
子どもが成長するために必要な財産をたくさん与えてあげたいという思いから「資産」と名づけられました。

あなたが子どもに与えられるものには何があるでしょうか。
乳児期には、食べ物と身の回りの世話、そして愛情というひとことに尽きるでしょう。
それから、子どもの知的・身体的発達を助ける様々な遊び道具や玩具、学習の助けとなるもの。
人とのつながりを育てるための友達や身近な大人との関係。
幼児期から少年期、青年期へと成長するにつれて、子どものために準備するものは多岐にわたっていきます。

親から子へ、大人から子どもへと引き継いでいくものを「財産」に例えるならば、子どもの社会化を促すためには、さまざまな「財産」を用意する必要があります。
子どもの発達を促すために用意されるべき有形・無形の財産を、ここでは「40の発達資産」と呼んでいます。
そして、外的成長にかかわるもの(外的資産)と、内的成長にかかわるもの(内的資産)に分けた指標を示しています。また、「発達資産プロフィール」とは、その人がどれだけの発達 資産を有しているかの経歴全体を示します。

「40の発達資産」チェックリスト は、11歳から18歳の子ども(小中高校生)向けのチェックリストです。
これらの「財産」ともいえる項目を、あなたの子どもがいくつもっているか確かめてみると、あなたが子どものために積み立ててきた「資産」がどのくらい貯まっているかについて考える参考となります。

 

子どもとは、幼児期から青年期まで幅広い年齢に分かれ、その時々に必要な支援の仕方も変わっていきます。
自由にすくすくと、心身の土台をつくる幼児期は特に大切です。
特に、自我の芽生えが見られる3歳ごろから、身近な生活空間を越えて集団の規範や人間関係等の基礎を形成する7,8歳ごろまでに基本的な生活習慣を営み、社会的な言動ができる力をいかに身につけさせるのか。
忙しい現代社会だからこそ、私たちがもっと目を注ぐべきでしょう。

さらに、十代の子どもたちに、もっと自発的に学ぶ力をつけ、もっと想像的な世界に遊び、創造力を使って身近な課題を乗り越える力をつける必要があります。
私たちが子ども達に伝えられるものを、十分に伝え切れているのだろうかという不安や疑問がつきまといます。

私たちの持っている知恵と技術、価値観や倫理観、言動の様式などを「文化」と言うなら、私たちが次世代に伝えるべきことを伝える使命を果たしているかについて、今一度考えてみる必要があります。

子どもに与えられる「財産」や「資産」と呼べるものがあるとすれば、子どもとともに小さな時からプランを立てて、積み重ねてきているかどうか。それが、「発達資産」の考え方です。「40の発達資産」として挙げられたものがすべてではありません。しかし、この枠組みは、子どもの発達に関する調査を重ねた中から代表的な項目を選んで構成されており、 子どもが健康で人間性に富み、個性を伸ばしながら責任ある個人として成長するために積極的に取組むことが望まれる経験や人間関係などに関する項目が含まれています。

「40の発達資産」は1990年代にサーチ・インスティチュート がアメリカとカナダで行なった研究をもとにつくりあげた指標です。2007年冬、わたくしたち研究チーム、は「40の発達資産」を提唱したアメリカのサーチ・インスティチュートを訪問し、この「40の発達資産」について日本で紹介することを始めました。

 

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